目次
様々な複素関数
様々な複素関数について勉強していきます. 内容は, 指数関数, 対数関数, 累乗関数, 三角関数です. 実数で定義されていたそれぞれの関数を複素数にまで拡張して, 実数の場合とどこが違うのか, どこが同じなのかを勉強しましょう.
複素関数について
実関数と複素関数の違いについて話します.
実1変数関数の場合には, 平面の中にグラフを描く事ができました. なぜなら実数と実数の対応である関数の表現には2つのパラメーターで事足りるからです. 同様に実2変数関数のグラフはの3つのパラメーターがあれば表現できるので, 3次元の空間に描くことができます.しかし複素関数はそうはいきません.
実1変数関数をと書くように, 複素1変数関数はと書くことが多いです. 複素1変数関数のグラフを描くには複素数と複素数を表現するパラメーターが必要です. しかし1つの複素数を表現するには2つのパラメーターが必要です. 直交座標系なら実部と虚部, 極座標系なら原点からの距離と偏角です. つまり2つの複素数が含まれるのグラフを描くには4次元が必要となります.
残念ながら私たちは4次元を認識することはできません(縦, 横, 高さに加えて, 《色》を用いて4次元を表現する方法はあります). なので, のグラフを表現するには, 複素平面を2つ用意します. 複素1変数関数は平面と平面の対応です. 関数は, 複素数の複素平面と複素数の複素平面の対応ということになります. それぞれの複素平面を平面, 平面と言います. これが実関数とのグラフの違いです. 1つの平面ないしは空間内にグラフを描けないため, 実関数に比べて関数を視覚的に捉えにくいこともあると思います.
たとえば, という関数において平面上の複素数をとすると平面から平面への写像は次の図のようになります.
しかし, それは逆に複素数のいいところでもあります. 1つの複素数を表すのに実部と虚部の2つのパラメーターが必要だからこそ, 複素平面を用いて幾何的に捉えることが可能です. たとえば, 実数に定義域としてが与えられているとき, それを幾何的に捉えるには数直線の上でとに区切り線をつけるしかありません. 一方複素数に定義域としてが与えられているとき, それは複素平面上で次の図ように表すことができます.
先ほどの関数のようにが虚数の値も取りうる場合には平面と平面が必要でしたが, が実数の値しか取らない場合には3次元空間にグラフを描くことが可能です(複素数に2つのパラメータ, 実数に1つのパラメータがあればよい). そのような関数としてや, などがあります. このような絶対値の関数を絶対値曲面と呼びます. とのグラフは次の図のようになります. 灰色の部分の平面が平面となっています. また, は回転放物面となっています.